インビザラインをおすすめしない症例とは?高難度でも矯正を成功させる4つの解決策・やるべき2つのアクションを解説
インビザラインでの歯列矯正を真剣に検討し、勇気を出してクリニックに相談に行ったのに、「あなたの症例はおすすめしない」「インビザラインでは難しい」と言われ、強いショックと不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
「もしかして、自分の歯並びは治らないのかもしれない…」長年のコンプレックスを解消できると期待していただけに、その落ち込みは計り知れません。筆者もそんな宣告を受けた一人です(でした)。
しかし、一人の医師に「おすすめしない」と言われたからといって、インビザライン治療を諦める必要は全くありません。
この記事では、以下を徹底的に、そして分かりやすく解説していきます。
- なぜ「おすすめしない」と言われるのか、その本当の理由
- 重度の叢生や出っ歯など、「難しい症例」を成功に導くための具体的な解決策
- 治療の成否を分ける、本当に信頼できる専門医の見極め方
この記事を読み終える頃には、あなたの不安は「何をすべきか」という具体的な希望に変わっているはずです。
インビザラインを「おすすめしない」と言われる5つの本当の理由

インビザライン矯正を「おすすめしない」と医師が告げる時、その背景には必ず理由があります。それは、大きく分けて以下の3つ(細かく分けると5つ)に分類できます。
- 「歯並び自体が難しい」ケース
- 「患者さん自身」の要因
- 「医院側」の都合
ご自身がどれに当てはまるか、考えながら読み進めてみてください。
治療の難易度が非常に高い症例
最も多いのが、歯並びの状態が「インビザラインの技術的な限界」に近い、または超えていると診断されるケースです。
インビザラインは万能ではありません。例えば、以下のような動きは、ワイヤー矯正に比べて不得意な面があります。
- 歯を歯茎から引っ張り出す(挺出)
- 歯の根(歯根)ごと平行に大きく動かす
重度の叢生(ガチャ歯)で歯を並べるスペースが全くない、あるいは抜歯が必要で歯を大きく動かさなければならない場合、標準的なインビザライン治療の計画では対応が難しく、「おすすめしない」と判断されることがあります。
(ただし、これらの症例も解決策がある場合があります。解決策の章で詳しく解説しますのでご安心ください。)
1日20時間以上の装着時間を守るのが難しい
インビザラインは、食事と歯磨き以外、決められた時間(1日20~22時間)装着し続けることで初めて計画通りに歯が動きます。
インビザライン治療は、医師の技術と患者さんの「二人三脚」で進める治療です。この自己管理が難しいと、治療が全く進まないため、最初からワイヤー矯正を勧められる場合があります。
重度の歯周病を患っている
歯周病は歯を支える土台(歯槽骨)が溶けてしまう病気です。土台が不安定な状態で歯を動かすと、歯が抜けてしまうリスクさえあります。
矯正治療の前に、まず歯周病の治療を優先する必要があります。50代以上の方は隠れ歯周病の場合も多いので、必ず歯科医の診断を受けましょう。
口腔内の清掃が難しい、または虫歯が多い
マウスピースを装着すると、歯が唾液に触れにくくなり、虫歯や歯周病のリスクが一時的に高まります。毎日の清掃を徹底できないと、矯正が終わる頃には虫歯だらけ、ということにもなりかねません。
歯科医院側の治療方針や設備・技術の都合
実は、この理由が非常に多いということを知っておいてください。
つまり、「あなたの症例はインビザラインでは(どの病院でも)無理」なのではなく、「(当院の技術・方針では)おすすめしない」という意味である可能性が非常に高いのです。
例えば、以下のような医院側の都合です。
- その医師がインビザラインの治療経験自体が浅い
- 「ワイヤー併用」や「アンカースクリュー」など、難症例に対応する技術や知識を持っていない
- そもそも、骨格的な問題を診断するためのセファロレントゲンなどの精密診断機器を導入していない
インビザライン治療は、医師の経験や技術によって治療できる範囲が大きく異なります。最初の医師の「できない」という言葉が、あなたの治療の可能性の終着点ではないことをまずは強く認識してください。
インビザラインは「おすすめしない」と言われやすい症例とは?

では、具体的にどのような歯並びが「インビザライン単体では難しい」と判断されやすいのでしょうか。そして、なぜ難しいのでしょうか。技術的な理由を解説します。
重度の叢生(そうせい)・ガチャ歯(スペース不足)
歯が重なり合ってガタガタになっている状態です。
歯が綺麗に並ぶための「スペース」が絶対的に足りていないためです。インビザラインは歯を少しずつ広げる(側方拡大)ことでスペースを作れますが、その量には限界があります。
重度の叢生の場合、抜歯や後述するIPR、ワイヤー併用など、より強力なスペース確保の手段が必要になる場合が少なくありません。そのため、「インビザラインだけでは難しい」と言われやすいのです。
重度の出っ歯(上顎前突)・受け口(下顎前突)
前歯が極端に出ていたり、下の歯が上の歯より前に出ていたりする状態です。厳密にいうと、出っ歯や受け口の原因が、単に「歯の傾き」だけではなく、「上下の顎の骨格」のズレにある場合、インビザライン単体での治療は困難を極めます。
インビザラインは歯を動かす装置であり、骨格そのものを大きく変えることはできません。奥歯をまとめて後ろに下げる などの大きな移動が必要な場合も「難しい」と判断されがちです。
抜歯の本数が多い、または複雑な抜歯が必要な症例
スペース確保のために親知らず以外の歯(小臼歯など)を2~4本抜歯するケースです。抜歯によって生まれた大きなスペース(歯1本分)を、マウスピースの力だけで完全に閉じるのは高度な技術を要します。
特に、歯が傾かずに根っこから平行に移動させる(歯体移動)は難しい症例となります。インビザライン矯正の経験の浅い医師が計画すると、歯が内側に倒れ込んで噛み合わせが浅くなる などの失敗リスクがあるためです。
インプラントやブリッジがすでに入っている
インプラントは骨と完全に結合している人工の歯根です。そのため、矯正治療で動かすことは絶対にできません。
「動かせないインプラント」を前提として、他の歯を動かす治療計画を立てる必要があります。インプラントの位置によっては理想的な歯の移動が物理的に妨げられるため、治療の制約となり「おすすめしない」と言われることがあります。
難しい症例をインビザラインで成功に導く4つの解決策

「おすすめしない症例」を見て、ご自身の歯並びが当てはまり、さらに落ち込んでしまったかもしれません。
しかし、「難しい」とは「不可能」という意味ではありません。それは「標準的な技術では難しい」という意味です。
経験豊富な歯科医は、これらの難症例を克服するために、インビザラインの能力を最大限に引き出す技術を持っています。
ワイヤー矯正との併用(ハイブリッド矯正)
最も強力な解決策の一つが、インビザラインとワイヤー矯正を組み合わせる「ハイブリッド矯正」です。実は筆者もハイブリッド矯正で全体矯正に成功しました。
(筆者もそうでしたが)「ワイヤーは目立って嫌だ」と思われる方も多いかもしれません。
しかし、これは治療期間の全てでワイヤーを着けるわけではありません。例えば、以下のように両方の矯正方法の「良いとこ取り」をすることも可能です。
- 治療の最初の数ヶ月だけワイヤーを使い、抜歯スペースを閉じたり、大きなねじれを治す。
- 難しい動きが終わったら、ワイヤーを外し、残りの期間はインビザラインで快適に仕上げる。
上記方法であれば、ワイヤー単体よりも目立たず、インビザライン単体よりも確実かつスピーディーに難症例を治療することが可能になります。
IPR(歯の側面を削る)によるスペース確保
重度の叢生で難しいと言われた場合、その原因はスペース不足です。スペースを作る方法として抜歯がよく知られていますが、もう一つの選択肢がIPR (アイピーアール)です。
これは、歯の健康に影響のない「エナメル質」のごく表面を、専用の器具でごくわずか削る(ヤスリをかける)技術となります。削るのは隣の歯と接する面で、表面0.1mm~0.5mm程度です。
「歯を削る」と聞くと不安に思う方も多いかもしれません。しかし、適切に行えば、抜歯という大きな犠牲を払わずに軽度~中等度の叢生を解決できる非常に有効な手段です。
アンカースクリューによる強力な固定源の確保
出っ歯や受け口の治療で難しいのは、歯を動かす際の固定源の問題です。
例えば、出っ歯を治すために前歯を後ろに下げたい時、奥歯を固定源にしてゴムで引っ張ると、前歯が下がる力と同時に、奥歯が前に動いてしまう力(アンカレッジロス )も発生します。そうなると計画通りに治りません。
そこで登場するのが小さなチタン製の医療用ネジであるアンカースクリューです。歯茎の骨にアンカースクリューを一時的に埋め込み、絶対に動かない固定源として利用します。
アンカースクリューにより、奥歯が動いてしまうのを防ぎながら、前歯だけを効率よく、かつ大幅に後ろへ下げることが可能になります。
アタッチメントの最適化による歯のコントロール
インビザライン治療では、歯の表面に「アタッチメント」と呼ばれる小さな樹脂の突起を付けることが少なくありません。アタッチメントは、ツルツルしたマウスピースが歯をしっかり掴み、複雑な力を加えるための「取っ手」のようなものです。
特に、インビザラインは以下のような動きは苦手とします。
- 歯の回転
- 歯根の移動
- 歯を引っ張り出す(挺出)
上記の動きでは、アタッチメントの形状や位置の設計がすべてを決めると言っても過言ではありません。
目立つことを理由にアタッチメントを最小限にしようとすると、かえって歯が計画通りに動かず、失敗の原因となります。難症例であるほど、このアタッチメントをどう設計するかに医師の技術と経験が現れます。
【最重要】インビザラインの成否は症例でなく医師の治療計画で決まる

高難度症例での4つの解決策(ハイブリッド、IPR、アンカースクリュー、アタッチメント設計)は、すべて高度な専門知識と技術、そして診断能力を必要とします。
つまり、インビザライン治療の成否を分ける最大の要因は症例ではなく、あなたの医師がどれだけ精度の高い治療計画を立て、それを実行できるかにかかっています。
治療の設計図クリンチェックの精度は医師の経験次第
インビザラインには「クリンチェック」と呼ばれる、治療開始から完了までの歯の動きをシミュレーションできる3Dソフトがあります。
多くの方が「このCG通りに自動で治る」と誤解されています。私も実はインビザラインを知る前はそうでした。しかし、それは全く違います。
あのCGは、あくまでたたき台です。そのデータを元に、担当する歯科医師が「この歯はこう動かす」「このタイミングでIPRを入れる」「ここにアタッチメントを付ける」と、手動で治療計画を修正・構築していくのです。
経験の浅い医師が、歯の根の動きや骨の限界を無視して綺麗な歯並びシミュレーション上だけでを作っても、実際には歯はその通りに動きません。
クリンチェックは、医師の経験と知識が反映された治療の設計図そのものです。この設計図の質が、あなたの治療結果を100%左右すると考えてください。
医師の経験・実績を見極めるプロバイダーランクとは?
では、どうやって「経験豊富な医師」を見極めればよいでしょうか。一つの客観的な指標として、インビザライン社が医師の年間症例数に応じて定めている「プロバイダーランク」があります。
| ランク名 | 年間症例数の目安 |
|---|---|
| レッドダイヤモンド | 1000症例以上 |
| ブルーダイヤモンド | 750症例以上 |
| ブラックダイヤモンド | 400症例以上 |
| ダイヤモンド | 150症例以上 |
| プラチナエリート | 80症例以上 |
| プラチナ | 50症例以上 |
| ゴールドII | 35症例以上 |
| ゴールドI | 20症例以上 |
| シルバー | 10症例以上 |
| ブロンズ | 1~9症例 |
もちろんランクが全てではありませんが、ランクが高い医師は、それだけ多くの症例(難症例を含む)を治療してきた経験値があるとは判断できます。
筆者のひどい歯並びを治してくれた歯科医が教えてくれた話では、医師個人名義でプラチナ以上を複数年継続している歯科医であれば、かなり経験豊富と判断していい目安になるそうです。(ちなみにその方はプラチナエリートです。)
隠れた骨格を見抜くセファロレントゲンの重要性
出っ歯や受け口で悩んでいる場合、その原因が「歯」にあるのか「骨格」にあるのかを正確に診断することが不可欠です。それを調べるのが、セファロレントゲン(頭部X線規格写真)という矯正歯科専用のレントゲンです。
このセファロレントゲンでの分析を行わずに、歯だけを見てインビザライン治療を始めると、骨格の問題を見落とし、無理な治療計画で失敗するリスクが高まります。
「セファロレントゲンを導入し、精密な骨格診断を行っているか」は、信頼できる医院かを見極める重要なチェックポイントです。
もしインビザラインを「おすすめしない」と言われたら?今すぐ取るべき2つの行動

「おすすめしない」と言われ、不安で立ち止まってしまっているあなたへ。今、具体的に取るべきアクションプランを2つご提案します。
勇気を持ってセカンドオピニオンを受ける
一人の医師の「おすすめしない」という診断が、あなたの全てを決定づけるわけではありません。インビザライン治療は、医師の技術や方針によって「できること」が大きく異なります。
これは、筆者自身が過去に同じ経験をしているからこそ、強くお勧めしたい行動です。
実は筆者も、相談に行った最初の医院で「あなたの症例はインビザラインでは難しいです」と断言された経験があります。しかし、どうしても諦めきれず、セカンドオピニオンを受けに行ったのです。
そこで初めて「難しい症例ですが、ワイヤーを少し併用すればインビザラインで進められますよ」という言葉をもらい、無事に治療を終えることができました。
特に治療開始前であれば、ためらわずに「セカンドオピニオン(第二の専門家の意見)」を聞きに行くことを強く推奨します。
別の専門医に相談することで、最初の医院では提示されなかった以下のような新しい解決策が見つかる可能性が十分にあります。
- ワイヤー併用ならインビザラインで可能
- アンカースクリューを使えば可能
セカンドオピニオンを受ける際は、可能であれば、最初の医院で撮影したレントゲンや口腔内写真などの資料を持参してください。より正確な診断が受けやすくなります。
難症例に強い専門医を探す
セカンドオピニオンは、ただ「近所の歯医者さん」に行っても意味がありません。どうせ聞くなら、インビザラインの難症例を克服できる、本物の専門医に相談すべきです。
探すべき医師の条件を、もう一度おさらいします。
- インビザラインの症例数が豊富か?(例:プロバイダーランクを公開しているか?)
- セファロレントゲン など、精密な骨格診断ができる設備があるか?
- ワイヤー併用、アンカースクリュー、IPR など、インビザライン以外の解決策(引き出し)も持っているか?
- あなたの疑問や不安に対し、メリットとデメリットの両方を丁寧に説明してくれるか?
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まとめ
インビザラインを「おすすめしない症例」と言われた時の、本当の理由と解決策について解説してきました。「おすすめしない」という言葉は治療できないことを意味するものではありません。
それは、「あなたの症例には、より高度な戦略と技術を持った専門医が必要だ」という始まりの合図です。
重度の叢生も、抜歯が必要な出っ歯も、適切な技術(ワイヤー併用、アンカースクリュー、IPRなど)と、それらを使いこなせる医師の精密な治療計画(クリンチェック)があれば、インビザラインで治療できる可能性は十分にあります。
大切なのは、最初の診断で諦めてしまうことでも、安易に「できます」という医師に飛びついてしまうことでもありません。
ご自身の歯並びの難しさを理解し、一緒に乗り越えてくれる、信頼できるパートナー(専門医)を、あなたの目で見極めることです。
この記事が、あなたが長年のコンプレックスから解放され、自信に満ちた笑顔を手に入れるための最初の一歩となれば幸いです。
歯科矯正TheGuardでは、インビザラインの難症例に対応できる専門医や、セカンドオピニオンに真摯に対応してくれる全国のクリニックを検索できます。まずは、あなたの不安を専門医に相談してみませんか?
やはり「抜歯が必要」と言われました。抜歯をするとインビザラインは無理なのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。抜歯によって生まれたスペースを閉じるのは、確かにインビザライン単体では難しい場合がありますが、「ワイヤー矯正との併用(ハイブリッド矯正)」を用いることで、効率的かつ確実に治療を進めることが可能です。多くの専門医が、抜歯症例にインビザラインとワイヤーを組み合わせて、良好な結果を出しています。
セカンドオピニオンを受けたいのですが、今の担当医に失礼になりませんか?
セカンドオピニオンは、患者さんの正当な権利です。高額で長期間にわたる治療だからこそ、複数の専門家の意見を聞いて納得した上で決めるのは、むしろ賢明な判断と言えます。多くの医師もその必要性を理解しています。大切なご自身の身体のことですので、遠慮せずに相談しましょう。

