子供のインビザライン費用はいくら?8歳と10代の年代別の総額と内訳の違い、ワイヤー矯正との比較を徹底解説!

お子様の歯並びが気になり、インビザラインでの矯正を調べ始めたものの、「費用が一体いくらかかるのか」がはっきりせず、手が止まってしまっていませんか?

ポータルサイトやクリニックのホームページを見ると、「40万円」という記載もあれば「100万円」という記載もあり、これほど幅があると何が「適正価格」なのか、後から追加費用を請求されないか不安になるのも当然です。

さらに、「小学生の息子と中学生の娘。同じ『子供』でも費用は違うの?」「保険はきく?医療費控除の対象になる?」と、疑問や不安は次々に浮かんでくることでしょう。

この記事では、小児・思春期の矯正を専門とする立場から、お子様のインビザラインにかかる「費用の全貌」を年齢(小学生vs10代)別に徹底解説します。

この記事を読めば、なぜ価格に幅があるのか、お子様の年齢ではいくら位かかるのか、そして費用を無駄にしないために何を確認すべきかが明確になります。

子供のインビザライン費用が分かりにくい2つの理由

子供のインビザライン費用が分かりにくい2つの理由

お子様のインビザライン費用を調べて「40万円」から「100万円超」まで情報がバラバラで混乱していませんか? その理由は、お子様の年齢によって、治療の目的と使う装置が全く異なるからです。

治療目的が違うI期治療とII期治療

まず、小児矯正には大きく分けて2つの段階があります。

小児矯正の段階 時期 目的
I期治療 6歳~10歳頃の「乳歯と永久歯が混在する時期」 土台作りの治療
この時期の活発な顎の成長を利用し、永久歯がきれいに並ぶための「土台(スペース)」を整える
II期治療 10代以降、永久歯がすべて生えそろってから始める 本格的な矯正治療
大人と同じように、歯1本1本を精密に動かし、正しい噛み合わせと美しい歯並びを完成させる

「子供の矯正」と一口に言っても、この「土台作り」なのか「本格矯正」なのかで、内容も費用も全く変わってくるのです。

使用する装置が違う「ファースト」と「ティーン」

インビザラインには、この2つの治療段階に合わせて専用のプログラムが用意されています。「インビザライン・ファースト」の費用(I期治療費)と、「インビザライン・ティーン」の費用(II期治療費)は全くの別物として考える必要があるのです。

小児矯正の段階 対応しているインビザラインプログラム プログラムの特徴
I期治療 インビザライン・ファースト
(Invisalign First)
6歳~10歳ごろのプログラム
顎の拡大と歯の移動を同時に行える
II期治療 インビザライン・ティーン
(Invisalign Teen)
11歳~10代後半(主に中高生)向けのプログラム
永久歯が生えそろっていない場合にも対応できる

10代(特に中高生)の矯正治療で、お子様が最も気にするのは、やはり見た目です。

インビザライン・ティーンは透明なマウスピースなので、学校の友達にも気づかれにくく、口元を気にするストレスがありません。部活動(スポーツや吹奏楽など)にもほとんど影響しないため、多感な時期のコンプレックスを最小限に抑えながら治療を進められることが最大のメリットです。

【小学生向け】I期治療インビザライン・ファーストの費用相場

【小学生向け】I期治療インビザライン・ファーストの費用相場

6歳~10歳頃の乳歯と永久歯が混在する時期に行うI期治療で使われる「インビザライン・ファースト」の費用と目的を解説します。

インビザライン・ファーストの費用相場:総額40万円~80万円

インビザライン・ファースト(I期治療)にかかる費用の全国的な相場は、約40万円~80万円です。

これは、従来のI期治療で使われる他の装置(ワイヤー矯正や床矯正など)の費用相場(約30万円~90万円)と同等です。ワイヤー矯正は症例によって幅が大きくなる傾向があります。

この費用には通常、精密検査・診断料、すべてのマウスピース費用、治療中の調整料などが含まれますがクリニックによって内容は異なります。

I期治療の目的:将来の抜歯リスクを減らす土台作り

I期治療の目的は、この段階で歯並びを完璧に治すことではありません。最大の目的は、お子様の顎の成長という「ゴールデンタイム」を利用し、永久歯がきれいに並ぶための土台(スペース)を確保することです。

この「土台作り」がうまくいくと、将来的に永久歯が生えそろった際、歯を並べるスペースが足りずに健康な歯を抜歯する(抜歯矯正)リスクを減らすことができます。I期治療は、II期治療をよりスムーズに進めるため、あるいはII期治療そのものを不要にするための投資と考えると分かりやすいでしょう。

注意点:I期治療だけでは終わらない可能性

親御様にとって最も重要な注意点です。

もちろん、I期治療だけで顎の土台が整い、永久歯もきれいに生えそろって「治療完了」となるお子様もいます。

しかし、多くの場合、I期治療で土台を整えた後、永久歯が生えそろった10代(II期)で仕上げの「本格矯正」が必要になります。つまり、I期治療の40~80万円が「矯正にかかる総額」とは限らない、ということです。

この点は、I期治療を契約する前に必ず確認しなければなりません。

【10代・中高生向け】II期治療インビザライン・ティーンの費用相場

【10代・中高生向け】II期治療インビザライン・ティーンの費用相場

永久歯が生えそろった10代(中高生)から始める本格矯正で使われる「インビザライン・ティーン」は、大人の矯正とほぼ同じ内容になります。

費用相場:総額80万円~110万円

インビザライン・ティーン(II期治療)は、歯1本1本を精密に動かす本格的な全体矯正です。そのため、費用相場も大人のインビザライン矯正とほぼ同じ約80万円~110万円となります。

I期治療の費用(40~80万)と比べると高額に感じますが、これは治療の目的と範囲が全く異なるためです。

I期治療が土台作りであるのに対し、II期治療は歯並びと噛み合わせを完成させる本治療だからです。

10代(ティーン)ならではの3つの特別機能

インビザライン・ティーンは、大人のインビザラインをベースに10代特有の事情を考慮した機能が追加されています。

機能名 機能の目的
コンプライアンス・インジケータ マウスピースに付けられた青い目印で装着時間が十分だと色が薄くなっていきます。親御様や医師が「ちゃんと使っているか」を客観的にチェックできます。
萌出スペース機能 まだ生えきっていない奥歯(12歳臼歯など)や、これから生えてくる永久歯のスペースをあらかじめ確保した設計が可能
紛失・破損時のサポート 10代は装置を紛失・破損するリスクが大人より高いため、多くのクリニックで「最大6個まで無償で再作成」といった保証が付いていることがあります

インビザライン vs ワイヤー矯正比較【10代・II期治療】

インビザライン vs ワイヤー矯正比較【10代・II期治療】

10代の本格矯正。費用、快適さ、確実性…どちらがお子様に合っているか、客観的に比較します。

費用(II期治療)の比較:インビザラインvsワイヤー

意外に思われるかもしれませんが、II期治療(本格矯正)の費用は、インビザラインもワイヤー矯正も、総額に大きな差はありません。

  • インビザライン・ティーン: 約80万~110万円
  • ワイヤー矯正(表側): 約60万~130万円(部分矯正なら30万~)
  • ワイヤー矯正(裏側): 約100万~170万円(高額になる)

「インビザラインは高い」というイメージがあるかもしれません。しかし、実は一般的な「表側ワイヤー矯正」とほぼ同等の予算感となります。

ワイヤー矯正は、より職人技を必要とする手法なので症例によって費用の幅が広くなります。

費用だけを理由にインビザラインを選択肢から外す必要はないと言えるでしょう。

お子様の自己管理タイプで選ぶ違い

では、何を基準に選ぶべきか。それは、お子様の性格と自己管理特性です。

比較項目 インビザライン・ティーン ワイヤー矯正
見た目 ほぼ透明で目立たない 目立つ(裏側を除く)
食事・歯磨き 外して普段通りできる 装置が邪魔。食べ物が詰まる
痛み 比較的少ない 調整後に痛みが出やすい
自己管理 【必須】1日20時間以上の装着 不要(装置は固定式)
確実性 本人の努力次第で失敗あり 装着忘れの失敗はない

インビザラインは「快適さ」で圧倒的に優れています。しかし、その快適さは「1日20時間以上、真面目に装着する」という本人の強い意志が大前提です。

10代の自己管理をサポートする機能と親の関わり

インビザライン・ティーンには、マウスピースに付けられた青い目印で装着時間が十分かわかるインジケータ機能があり、親御様が装着時間をチェックする手助けにはなります。

しかし、学校で親の目がないときに外していないか、食事後に付け忘れていないか、最終的にはお子様次第です。「うちの子は面倒くさがりで、言われないとやらない」という性格の場合、100万円近い費用をかけたのに、装着時間が足りずに治療が計画通りに進まない…というのが最悪のシナリオです。

もし自己管理に少しでも不安があるなら、本人の意思に関わらず治療が進むワイヤー矯正を選ぶほうが結果的に確実で、費用対効果も高くなる可能性が十分にあります。

子供の歯列矯正で知っておくべき追加費用と医療費控除

費用の無駄遣いで終わらせない!知っておくべき追加費用と医療費控除

高額な治療費で想定外の出費を減らし、使える制度を活用する知識は必須です。

I期治療からII期治療へ移行する際の総額に注意

以下の例が、多くの親御様が費用面で後悔する最大の落とし穴です。

  1. 小学生の時、Aクリニックで「I期治療 40万円」で契約
  2. I期治療が完了
    医師から「永久歯が生えそろったので、仕上げのII期治療が必要です」と言われる
  3. II期治療の見積もりを見たら「別途80万円」と書かれていた

総額120万円になってしまい、I期治療の40万円で全て終わると思っていたのに想定の3倍に…となる方も少なくありません。

これを防ぐには、I期治療の契約時に、必ず「もしII期治療が必要になった場合、費用はいくらかかりますか?」と確認してください。

クリニックの料金体系には、「I期・II期それぞれ別料金」の所と、「I期・II期を合わせた総額(トータルフィー)」を提示してくれる所があります。後者のほうが、将来的な総額が分かりやすく安心です。

治療目的なら医療費控除の対象

結論から言うと、インビザライン・ファーストもティーンも医療費控除の対象になる可能性は非常に高いです。

医療費控除とは、家族全員で年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすると税金の一部が戻ってくる(還付される)制度です。

ポイントは、その治療が「美容目的」か「医療目的」か、です。国税庁は、「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正」は医療費控除の対象になるとしています。

つまり、お子様の「噛み合わせが悪い」「顎の成長に問題がある」といった機能改善のための治療は「医療目的」と認められます。

医療費控除を受けるには、必ずご自身で「確定申告」を行う必要があります。翌年の確定申告期間(通常2月16日~3月15日)に、税務署やインターネット(e-Tax)で申告します。

会社員の方も、年末調整とは別に申告が必要です。

まとめ

インビザラインは、見た目を気にせず快適に治療できる素晴らしい選択肢です。しかし、そのメリットはお子様本人の「自己管理」という努力の上に成り立っています。

高額な費用を無駄にしないためにも、まずはお子様と「毎日20時間、自分で管理し続ける覚悟があるか」をしっかり話し合ってください。その上で、信頼できる矯正専門医を探し、「うちの子の年齢と性格なら、どの治療法がベストか」を相談することから始めましょう。

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I期治療(ファースト)をやっておけば、II期治療(ティーン)は安くなりますか?

II期治療が不要になるか、抜歯せずに済んだり、治療期間が短くなったりする 可能性は高まります。その結果、II期治療費が通常より安価な設定になっているクリニックもあります。 ただし、これはクリニックの料金体系(I期・II期をセットで考えているか) や、お子様の顎の成長次第です。I期治療の契約時に「II期治療に移行する場合の費用体系」を明確に確認しておくことが最も重要です。

10代の子供が装着時間を守れるか不安です。

正直なところ、10代のインビザライン治療における最大の失敗原因が「装着時間不足」です。インビザライン・ティーンには装着時間を確認できるインジケータ もありますが最終的には本人の意思です。 もし親御様から見て「うちの子は難しい」と感じる場合、無理にインビザラインを選ばず、自己管理が不要で確実性の高い「ワイヤー矯正」も優れた選択肢だと、お子様とオープンに話し合ってみてください。

結局、I期治療(小学生)から始めるのと、II期治療(中高生)まで待つのは、どっちが得ですか?

費用(総額)だけを見れば、II期治療だけで済ませる方が安くなる「場合も」あります。 しかし、I期治療は「顎の成長」というその時期にしかできない治療 であり、将来の抜歯のリスクを減らす という、お金には代えられない大きな価値があります。 これは「得か損か」という費用面の問題ではなく、「お子様の骨格や歯並びの状態」で判断すべき医学的な問題です。まずは専門医の診断を受け、お子様の状態にI期治療が必要かどうかを見極めてもらうことが先決です。